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精神病院と緑化
式場 隆三郎
1
1式場病院
pp.395-398
発行日 1960年6月1日
Published Date 1960/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201665
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戦前,日本には代用精神病院の会があつた。これは官公立に代つて精神病者の治療にあたつている全国の精神病院のあつまりであつた。戦後に日本精神病院協会が誕生し,その後社団法人となり,昨年10周年記念の式典をあげた。これはかつての代用精神病院協会のようなものではあるが,もつと自主的な組織と性格をもつているし,その病院会員は200あまりの多きに達し,日本の私立の精神病院の主要なものはすべて網羅されている。この他に官公立の精神病院を加えた財団法人日本精神衛生会がある。この2つの会や,かつての協会では,いろいろな問題を研究したり論議したりしてきたが,緑化についてとりあげたことはなかつた。こんど日本病院協会が,病院の緑化運動の提唱をはじめ,研究雑誌「病院」が特集号を刊行し,私にも精神病院の緑化についての意見をもとめられた。この企ては当然のことであり,大賛成である。むしろおそきにすぎるきらいさえある。これは病院はもとより,一般のアパート,ことに近年続出している団地などにも適用すべき問題だとおもう。この数年,建築は異常な進歩をみつつあるが,その環境の整備や改善はまだまだ手がつけられていないといつても過言ではない。これは病院においても同様で,ことに結核病院や精神病院においては,もつと問題にしてよいのである。長期にわたる療養生活をするところだから,という意味はもう強調する必要はない。これら2つの病気とも,その在院期間は年々短縮されつつある。
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