病院長プロフイル・53
大阪赤十字病院院長 菊池武彦氏
pp.208
発行日 1958年3月1日
Published Date 1958/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201335
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全日赤病院のホープ
10年と云う歳月は,やはり物事を一新する力があるようだ。大阪日赤が,方円坂の旧兵舎で,みじめな毎日を送つていたのも,今ではどうやら昔の語り草になりかかつている。
日赤の大先輩前田松苗博士が,一生の仕事として心血をそそいで完成した筆ケ崎の大病院を,終戦直後,進駐軍に占領されて足かけ10年,昭和29年に漸く解除にはなつたが,それは余りにも住み荒されたみすぼらしい姿と変り果ててしまつていたのには,病院当事者も驚いて手を拱いたのだつた。それをこつこつと自力で修理して1年有余,31年5月に復元式を行つた時は,これはと見ちがえる程美しく復興していて,内外の招待客をして心から讃嘆の声を発せしめた。我が菊池院長はそうした仕事の影に悠然と存在を現わしたのであつた。
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