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病院管理に関するWHO顧問クロスビー博士の日本政府に対する勧告
岩佐 潔
pp.153-156
発行日 1957年3月1日
Published Date 1957/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201203
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私は日本政府の要求にもとずき,WHOの病院管理の顧問として,過去2週間半に亘つて,日本国中の色々な規模の,色々な種類の病院及び療養所を視察して廻つた。この私が得た印象を基礎として作製した,勧告を含むこの予備的な報告書を受取つて頂きたい。ただ充分な時間がなかつたので,これらの示唆を十分裏づけ且つ完全なものとするのに必要なだけの資料を集めることが出来なかつた。従つてこれらの示唆は,日本政府が日本の病院における患者治療の実質を向上させようとする努力に当つて,日本政府にとつて最も役立つであろうと私が概念的に考えたものに過ぎない。
厚生省及び病院管理研修所の幹部は,最も熱心に私に情報を提供し,日本の実情について説明をして頂いた。これら幹部との最初の会合で明らかになつたことは,日本の病院が現在当面している主要な問題は,病院医療の経済を賄う資金に関するものであるということであつた。この事は一方には,日本の国民経済の状態に関係していることであり,一方には,日本においてすでに永年行つてきている医療保険の制度に関係しているものである。これに加えて,日本の病院管理の科学が未だ幼児期にあり,発達していない。勿論1948年に創設された病院管理研修所は,日本において,病院管理学の理解をすすめ.その実際を向上させる上に,大きな教育上の効果を及ぼして来ている点については,厚生省は称讃されるべきである。
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