病院長プロフイル・28
精神病患者と共に生きる菅修氏(県立芹香院長)
pp.55
発行日 1956年1月1日
Published Date 1956/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201057
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横浜市の南方の丘陵地帯で丘に抱かれた芹ケ谷という好適の地に神奈川県立精神病院芹香院がある。表門から眺めると二階建の本館の右手の二階の窓が菅先生の院長室である。先生は芹香院の三代目の院長で昭和16年東京都立松沢病院から栄転して今日まで非常な努力を重ね困難を克服して芹香院の発展に力を注ぎ,土地の買収を重ねて敷地を拡張し,病棟の増新築ことに結核病棟の新設,近代的設備の完備した治療棟の新築,その他男女看護員の宿舎の新増築,職員公舎の増設,準看護学院の創立等を続々と完成し,今日の近代精神病院のモデルをつくり上げたのは先生の努力の結晶であり,先生の性格の発露でもある。
先生は広島県の出身で北海道大学医学部を卒業するや直ちに上京して昭和2年東京都立松沢病院医員を拝命した。その当時は勿論青年医師であつたが,普通ならば相当年寄つてからでないと真の興味の湧かない問題に妙に興味を持ち出したのは若いとは云え年寄地味た優れたものを持つていたのが目立つた。先生の注目されたのは精神病者の処遇の改善の点であつて,先ず患者の作業療法の改善に目を注ぎその体制を整え内容の充実を計りついに作業療法の発展に大きな功績をのこした。又患者の生活状態の改善のため患者のリクリエーシヨンの必要性を主張し,医員と協力研究して今日の基礎を確立した。
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