病院建築・79
神奈川県立芹香院の設計
和田 亮太
1
1創和設計
pp.69-73
発行日 1975年12月1日
Published Date 1975/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205781
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昭和4年に開院
社会思想の激しい変貌下にあって,精神衛生の問題は,国家社会の責任と人道主義の上に立ち,患者の社会復帰に寄与せねばならないことは言をまたない.神奈川県立芹香院は,昭和4年3月定床150床をもって,「芹は水草にして芳香を放つ」と,時の神奈川県知事池田代が句を寄せられて開院されて以来,40数年の歴史とともに精神医学と社会に頁献してきた.
昭和8年収容定員234名となり,その後数次にわたり増改築が行われたが,いずれも木造であった.昭和35年に,はじめて鉄筋コンクリート2階建1,988.42m2130人収容の病棟,さらに昭和36年には,鉄筋コンクリート造2階建595.02m242人収容の病棟が新築され,現敷地約131,000m2に本館,治療棟8病棟,および付属建物52棟で,約12,600m2の建物となり,定床400床の規模となっている.年を追って継ぎ足された典型的な分棟式で,病棟単位ごとに独特な一種の雰囲気が醸成され,患者の作業によって作られた池などがあり,精神病院の特殊性から,むしろ捨て難い点も少なくなかった.
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