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病院史概説(17)
岩佐 潔
1
1病院管理研修所
pp.81-86
発行日 1955年8月1日
Published Date 1955/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200993
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XVIII.フランスの病院
1)18世紀以前の病院
フランスの病院も十字軍時代には,その施設数2,000を越えていたが,その後非常に減少した。しかも,その内主要なものはパリーに集つている。パリーの病院を語るとなるとすでに度々言及した所であるがHôtel-Dieuについて再び語らねばならない。この病院についての規定は16世紀まではNotre-Dameのことを定めた規定の中に含まれていたが,1505年から事務面は市長及び国会によつて専任された8人の世俗人によつて管理されることになつた。1654年には,その人数が12人に増え,1690年にはルイ14世(Louis XIV 1643—1715)の勅令でさらに委員をふやし「大委員会」といわれるものを編成した。この時加えられたメンバーはパリーの大司教,国会の前議長,国税庁長官,民生長官,警視長官,パリー市長等であつた。この大委員会は本来のHôtel-Dieuのみならず,先に述べたこの姉妹施設のSt. Louis病院,St. Anne病院,恢復期病院,不治者病院及び町や村にある多数の傍系病院の管理をもつかさどつた。これ等病院の内には会計は全く独立しているものもあつたが,同じ委員会で管理されたことは興味深い。この内,恢復期病院は1640年私人によつて造られた。当時病院の収容能力は極度に不足していたので,すこし快方に向つた患者は早期に退院させられた。
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