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病院史概説(9)
岩佐 潔
1
1病院管理研修所
pp.65-68
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200903
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XI.中世期の大学
1)大学の起り
中世におげる医学の担い手が主として,キリスト教の牧師であつてその医学が教父医学として特長づけられていたことについては既に述べた所であるが,中世知識の源泉として大学もまた重要な役割を果している。もともと中世における教育は神学を中心として教会によつて支配されており大学の起源については宗教的なものと世俗的なものがあるが詳細は不明な点が多い。しかし11〜12世紀の社会的変動,都市の発展に供つて学生組合を中心とした様な大学がヨーロツパ各地に出来てきた。14〜15世紀には当時の世界を支配する三大精神は法王庁と皇帝と大学であると言われる程その力は大きなものになつた。
中世は封建的割拠の時代であつたが,一面には統一的世界主義傾向の強い時代でもあつて新知識を求める学徒は郷国や人種に煩わされることなく各地を自由に巡歴した。その結果法律ならポロニア,神学と哲学はパリー,医学はサレルノとそれぞれ世界的教育の中心が出来た。
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