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医療券一部負担額の問題—case workerの眼に映ずる患者の惱み
山本 武夫
1
1東京療養所
pp.5-15
発行日 1953年7月1日
Published Date 1953/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200668
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最近,医療券の一部負担額の支払困難を訴える患者が多く,これをどう取扱つていいかについては意見がまちまちらしいので,私たちのところでも,そのような患者を扱つている間に,わずかではあるが,資料が集められたので,その資料をここでごらんに入れて,皆さんとともにこの問題について考えてみたいと思う。もつとも,この資料は現在私が仕事している国立東京療養所の医療社会事業部で取扱つた患者の,しかもその僅かな一部分の患者から得られたものであるから,局部的な資料にはちがいないが,「一斑を見て全貌を知る」ことは不可能ではないし,単に一人のcase workerの見解であるとしても,そこから何らかの意味がくみとられてもいいように思うのである。
患者にとつて病気が惱みの主体であることは当然のことではあるが,その病気を治すためには患者の持つ経済力が重大な役割を果している。したがつて患者の関心は自分の病気とおなじ程度に時にはそれ以上に,自分の経済事情に注がれるのである。
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