--------------------
Dr. Moriya's Recordtape
pp.48-49
発行日 1952年12月1日
Published Date 1952/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200576
- 有料閲覧
- 文献概要
9.Manufactured weather
先日,病院學會の地方會が日活會館であつて,冷房裝置の實驗と,キヤリヤー會社提供の色付映畫を見せてもらつた時,中川社長の話にMaunfactured weatherという語があつた。
我々は今世紀になつで實は色々の發明にぶつかつて,完全に自然を征服する樣になつたが,氣候まで自由になるとは大した物だと感嘆したものであつた。云われる通り温度と濕度と氣流を自由にすれば地球といかなるポイントの氣候とでも同じものが出來,同じconditionにおく事が出來る。若し望むならアラビヤの夜の氣候でもアルプスの頂上の空氣でも人工で作る事が出來る。昔から云われた樣に,本當にサンモリツの氣候が肺結核の治療によいものならば,この樣な人工氣候で充分大氣療法が出來る筈である。山の中へ高い給與を出して醫師や看護婦をつれて行く事もないし,汽車にゆられて患者が遠くに行く事もないであろう。しかしこの冷房も何となく自然の力には及ばぬ樣な氣がするのは,考えが古いのであろうか。しかし罐詰料理がいかに榮養があつても何か足りぬ。その足りぬものがビタミンであつた如く人工氣候も何か足りぬ。その足りぬものが發見されるかもわからない。今後の研究にまちたい。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.