連載 世界病院史探訪・19
幕末維新の来日オランダ医たちが医学教育を受けたウトレヒト陸軍病院
石田 純郎
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1医療法人慈生会 介護老人保健施設くつろぎ苑
pp.749-750
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200003
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陸軍軍医学校は外科と内科をともに学問として公平に扱い,国家が管理したヨーロッパにおける最初の近代的医育機関である.1789年のフランス革命の余波でギルドが廃止され,外科医ギルドの中で要請されていた外科医の養成ができなくなった.当時,外科医は職人で,外科は技術,職人の手仕事であり,大学ではもっぱら内科医だけを養成していた.
そのためヨーロッパ各地に国家によって,陸軍病院内に陸軍軍医学校が創設された.前回掲載のウィーン陸軍軍医学校だけは,フランス革命に先駆けて1785年に創設されたが,19世紀に入ると,パリ,モンペリエ,ストラスブール(以上,フランス),ライデン(オランダ,旧ペスト・ハウス棟内),ベルリン(プロシア)などに,陸軍軍医学校が次々と置かれた.1807年に500床の陸軍病院がオランダのウトレヒトに設置され,ライデンの軍医学校は1822年にこの病院に移転し,ウトレヒト陸軍軍医学校となった.
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