特集 病院食再考
【事例】
本当の美味しさを病院で―アルテミス ウイメンズホスピタル
武谷 典子
1
1医療法人社団レニア会 アルテミス ウイメンズホスピタル(旧きよせの森総合病院)
キーワード:
減塩・脱化学調味料
,
本当の美味しさ
,
六味三徳
,
見直し
,
広報活動
Keyword:
減塩・脱化学調味料
,
本当の美味しさ
,
六味三徳
,
見直し
,
広報活動
pp.382-386
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102780
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
昨年(2013年)12月4日,和食が世界文化遺産に登録されたという嬉しいニュースが届きました.それに先立つ昨10月,「和食を文化遺産に!」という気運を高めるため,京都府は「日本料理文化博覧会 和食の未来に向けて」という催しを開催しました.私はこの会に,当院の料理長と一緒に参加しました.第一部は裏千家今日庵文庫長の筒井紘一氏と京都の名だたる料理店のご主人たちのフォーラム.第二部は京都の20店舗のシェフたちのコラボレーションによる試食会でした.フォーラムでは,鎌倉時代の禅宗の高僧で,食について深い洞察を披瀝した曹洞宗の開祖,道元禅師のことが話題になっていました.とても興味深いお話でしたが,私はこの時まで道元師のことをよく知りませんでした.帰宅後すぐ,道元師が食のあり方について書き綴った『典座教訓』を買い求め読了しました(正確には藤井宗哲訳・解説の『道元「典座教訓」』,角川ソフィア文庫,2009).
道元師の教えの中心となるものの一つに,崇寧2(1103)年に完成した禅宗の清規の書,『禅苑清規』に始まる六味三徳の考えがあります.六味とは,苦味,酸味,甘味,辛味,塩味1)の五味に淡味を加えたものです.三徳は軽輭(軽やかでふっくらとしていて舌触りが心地よいこと),浄潔(不純でないこと),如法作(理にかなった調理がなされていること)です.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.