特集 医療の公益性とは─医療法人制度改革の現状
医療の非営利性・公益性について
田中 滋
1
1慶應義塾大学大学院 経営管理研究科
キーワード:
医療
,
非営利性
,
公益性
,
社会資本性
Keyword:
医療
,
非営利性
,
公益性
,
社会資本性
pp.105-108
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102450
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医療にかかわる営利・非営利,さらには公益性をめぐる問題が世間で最も盛んに討議された時期は,小泉内閣の頃である.いわゆる新自由主義的な勢力が,当時の規制改革会議などを舞台に営利企業,取り分け株式会社の病院市場参入自由化推進論を積極的に唱えていた.そうした“市場経済原理主義”注1)に対抗して,厚生労働省に「これからの医業経営の在り方に関する検討会」1)(2001~2003年)および「医業経営の非営利性等に関する検討会」2)(2003~2005年)が設けられ,わが国における医業経営のあり方が正面から論じられた.そこでの関係者の精力的な議論の影響もあり,医業経営における非営利性の意義が広まっていった結果,株式会社病院開設論等が下火となる一方,公益性をも意識した社会医療法人制度創設につながっていった経緯はいまだ記憶に新しい.
本稿では改めて医療をめぐる非営利性と公益性の考え方を整理して提示する.
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