特集 医療と介護はどう変わるか 平成24年診療報酬・介護報酬同時改定
医療費・介護費用の増加にどう対処するのか
中村 秀一
1
1内閣官房 社会保障改革担当室
キーワード:
社会保障給付費
,
医療保険
,
介護保険
Keyword:
社会保障給付費
,
医療保険
,
介護保険
pp.414-418
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101969
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■社会保障の給付と負担の現状
1.社会保障給付費の推移
わが国における社会保障の規模は,毎年度の社会保障給付費で知ることができる.2010年度の社会保障給付費(予算ベース)は,105.5兆円で初めて100兆円を超えた(2009年度は98.7兆円).対国民所得比は31.4%であり,これも初めて30%を超えることとなった(2009年度は26.8%).その分野別の内訳を見ると,年金が53.2兆円(社会保障給付費全体の50.4%.以下同じ),医療が32.1兆円(30.4%),福祉その他が20.2兆円(19.1%)となっている.なお,介護費用は,「福祉その他」に分類されている.
社会保障給付費の推移を見ると,1980年度の24.8兆円から1990年度は47.2兆円へと10年間でほぼ倍増し,1990年度から2010年度までの20年間でさらに2.2倍に増大してきた.対国民所得比は1980年度で12.2%,1990年度で13.6%であったが,2010年度では先に述べたとおり30%を超えた.1980年代は一定の経済成長があり,この間倍増した社会保障給付費を経済の伸びでほぼ吸収することができたが,1990年以降の長期にわたる経済的低迷の中で,社会保障給付費は着実に増加を続けたため,対国民所得比も上昇を続けてきたことがわかる.
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