連載 広がる院内助産所・助産師外来・6
【長野県における事例】助産師外来への道のり
櫻井 きよみ
1
,
上村 美智子
1
1市立大町総合病院
pp.952-956
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101579
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以前は,お産と妊産褥婦やその家族全員に関わる健康面の援助は,ほとんど私たちの先輩である「産婆」が取り扱っていた.社会環境の変化や,文化的価値観の変化など日本が大きく変った際,お産事情も大きく変化し,自宅分娩から施設分娩へと移行し,医療の中に組み込まれた.その変化により助産師の業務内容や助産師自身の意識も変化し,主体性が失われ,保助看法に定められている業務内容より大幅に縮小した助産師像が構築されて現在に至っている.昨今の周産期医療を取り巻く多種多様な問題は根源が深く,産婦人科医,小児科医,産科施設の減少だけで語ることはできず,受益者側にも意識の変化を求めなければならない.
また,助産師には開業権があるにも関わらず,医療法の改正により,医療環境が法的に厳しさを増し,開業するにも大きな制約が課せられ,開業が一段と困難になったことも,この状況の遠因の1つではなかろうか.現在,特に異常の見られない妊婦の9割が病院でフォローされている.しかし,そうした妊婦たちの中にも「自然に産みたい」と希望する人は増加している.この時代だからこそ助産師本来のあり方を再確認し,また再構築することが,将来の助産師職能の発展に繋がると考える.その一助となる助産師外来を市立大町総合病院で開設したので,紹介する.
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