連載 広がる院内助産所・助産師外来・2
湘南鎌倉総合病院産婦人科での助産師外来と院内助産―これまでの道とこれからの道
井上 裕美
1,2
1湘南鎌倉総合病院
2湘南鎌倉総合病院 産婦人科
pp.570-575
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101488
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「医療崩壊」や「産科医療の危機」など,ここ数年間,産科医療の現場は混乱を来している.産科医療でのクレームや訴訟問題に端を発したかのように見えた産科医不足,そしてそれによって生じた産科施設の閉鎖,さらに産科救急を受け入れられない状況は「救急患者のたらい回し」といった報道へとエスカレートしていった.そしてこの問題は産科医の産科手当を含む診療報酬の引き上げとなり,病院内での診療報酬の格差を生み出しながら,国を挙げて,各施設は躍起になって産科医を増やそうとしている.
しかし,もっと冷静に振り返ってほしい.「産科医療でのクレームや訴訟問題に端を発したかのように見えた」と言ったが,本当はその前に,この問題を起こす原因があったのではないだろうか.「お産」の本質を理解せず,病根を治さず対症療法を行うのでは,とても日本の産科医療を救えるとは思えない.もちろん産科医がいないから,そしてお産施設が減少したから助産師がその代わりを行うといった発想も,はなはだ疑問である.そして今回のテーマである「助産師外来や院内助産」の病院でのあり方を探りながら,この混乱した産科医療を検討したいと思う.
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