連載 病院管理フォーラム
■医事法・19
医療裁判から医療ADRへ(1)
植木 哲
1
1千葉大学法経学部法学科
pp.1012-1014
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101331
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●通常医療と医事訴訟
始めに,人(生命体)が発生・出生してから死亡・死体に至るまでの法律条文を一覧表にしてみましょう(図).このうち通常医療は,人が生まれてから死亡するまでの間の様々な病気に対する診断・治療の総体を意味します.ここでは病気の種類・性質に応じ,あらゆる医療行為が内科系か外科系かを問わず敢行されます.その中で,医事訴訟になりやすい診療科目(外科,内科・小児科,産婦人科,整形外科等)と,そうでない診療科目が存在するのはやむをえないことでしょう.
医事訴訟の検索としては,コンピューター検索が可能なTKCの医療判例検索システムがあります.2008年6月24日現在,2,714件が搭載されており,このうち最高裁判決が127件,高裁判決が529件,地裁判決が1,916件となっています.民事責任の根拠別では,契約責任(民法415条)関係が646件,不法行為責任(709条)関係が1,499件,工作物責任(717条)関係が6件であり,国家賠償法1条関係が111件,同2条関係が5件となっています.
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