特別寄稿
現場医療者からのフィードバック調査―急性期医療現場で医療が目指すべき方向性は果たされているか?
井出 恵伊子
1
,
田中 滋
1
1慶應義塾大学大学院経営管理研究科
キーワード:
医療現場
,
勤務医
,
満足度
,
医療制度
,
フィードバック
Keyword:
医療現場
,
勤務医
,
満足度
,
医療制度
,
フィードバック
pp.712-716
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101260
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要旨 医療政策の大きな方向性は①医療サービスの質の向上,②資源の効率的利用,③患者満足度の向上であり,各医療機関ではさらに④従業員満足度の向上,⑤収益の維持または向上が必要とされている.①~⑤達成に向け様々な制度が導入されたが,一方で医療者達が病院を去る人材危機が深刻化した.そして急激に医療提供体制存続に危機的状況を招いた.本研究ではこの現象を制度・政策の「現場インパクト」という視点で捉え直し検証を試みた.
医師・看護師調査の結果,医療者は①~⑤の各々の実現性に矛盾を感じていた.また身体的・精神的・時間的限界の訴えや事務作業への不満が非常に高かった.背景には平均在院日数短縮による業務量増大,患者期待の増大,訴訟リスク,マネジメント資源の限界等が考えられた.
本研究は特に外部から状況が判断しづらい,急性期医療現場問題の実態解明を主旨とし,今後の医療のあり方を考える一資料を提供するものである.
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