特集 事務職員の採用とキャリア形成
全日本病院協会「病院事務長研修コース」概要と実績
大橋 正實
1,2
1社団法人全日本病院協会 医療従事者委員会
2医療法人耳鼻咽喉科麻生
pp.232-234
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101141
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バブル経済の崩壊とともに医療費削減の声がマスコミに登場し始めたのが2000年頃である.その頃はまだ「病院を潰すはずがない」という医療神話が広く信じられていた時代で,誰もが危機感は薄く楽観していた.それまでは病院の事務長と言えば地方自治体の元環境衛生部長や元銀行支店長で,筆者の病院の事務長も元某大手カメラ卸し会社の経理部長であった.病院はそこそこの腕を持った医師と看護師が法定数いれば,誰が事務長であっても経営できたのである.
その状況が変わり始めたのが,2002年の診療報酬改定からだと思われる.筆者の病院では,ちょうどその年に,5年前に北見市に新しくオープンした耳鼻科の単科専門病院のリースアップということで,30%の経営利益増を見込んでいたが,この診療報酬改定ですべてが消えてしまった.さらに2004年,2006年の改定で特別な投資はまったくしていないのにもかかわらず,2001年の経常利益の50%近くにまで収益が悪化した.この時期から筆者の拠点病院のある札幌市でも病院の売り買い,経営危機の噂が飛び交うようになり,老舗の外科専門病院と新興の循環器専門病院が,いずれも新しい場所への新築移転ののち数年を待たずに前者は吸収合併,後者は倒産して民事再生法に委ねられた.さらにその数年前には北海道で初のPET検診を売りにした病院が倒産し他の医療法人の手に渡ってしまった.いずれのケースも,新築移転,新しい事業展開を熟孝し,ストップをかける「コアの人材」がいなかったことがわかっている.
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