特集 医療に求められるイノベーション
【イノベーションの実践】
患者と医療スタッフのパートナーシップのための喘息診療ガイドライン
宮本 昭正
1,2
1財団法人日本アレルギー協会
2東京大学
pp.145-147
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101120
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ガイドライン作成の経緯
効率のよい治療を行うことによって医療費の高騰を抑えるとともに,患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を図ろうとして,様々な疾患に対して管理・診療のガイドラインが作成された.これはわが国だけではなく,国際的な動向でもある.ガイドラインの作成に真剣に取り組んでいる学会も少なくない.
厚生労働省(以下,厚労省)はいくつかの疾患を選んでガイドラインの作成を各方面に依頼しており,私は1999年に気管支喘息に対してEBM(Evidence Based Medicine)に基づいた診療ガイドライン作成の依頼を受けた.そこで,内科および小児科における気管支喘息診療のエキスパートと目される約50名の専門医を選び,協力を要請した.日本アレルギー学会の「アレルギー性疾患の治療ガイドライン」という主題の下に行われた特別シンポジウムを骨子にしてまとめられた喘息のガイドラインを参考にして項目を決定し,それぞれの項目について複数の医師に担当してもらい,国内外の文献検索,検索結果の取捨選択,選択された論文の評価を経て,さらに何回か会合を重ねて作成されたのが「EBMに基づいた喘息治療ガイドライン」である.これは主として喘息の専門医を対象にしたものであり,内容がかなり専門的であったことから,一般の臨床医を対象にしたガイドラインも作成した.基本的には,前者のガイドラインの要点を簡明にまとめたものである.それとともに患者向けのガイドラインも作成したが,これらは2001年に出版された.
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