特集 急性期入院はDPC適用になるのか
患者別・診断群分類別の原価計算と医療経営
今中 雄一
1
Yuuichi Imanaka
1
1京都大学大学院医学研究科医療経済学
pp.648-652
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100863
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■医療の制度改革と原価計算
医療の質と安全に対する要求は強まり一層のコスト高を強いられる一方で,医療費の抑制政策はますます厳しく,医療経営の難しい制度,環境となってきている.経営システムと医療の質の保証と効率化が求められている現在,医療の原価の把握は,国レベルの政策のうえでも,医療機関レベルの経営のうえでも,極めて重要となってきた.診断群分類ごとの包括評価,包括的な支払制度はその流れに拍車をかけることになる.
ところが,医療費といった場合に,医療の現場ではその「医療費」が,「診療報酬」を指すのか,医療のために消費された資源を貨幣価値に換算した「原価」を指すのか,不明確な位置付けで使われがちな実態があった.病院で,診療報酬のことを指してコストと呼ぶ場合も散見される.経済学あるいは会計学上は,医療機関にとって,「診療報酬=請求額(Charge, Fee)=収入(収益, Revenue)」と,「原価=コスト(Cost)=支出」とは,全く異なるものである.
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