特集 いい病院をつくりましょう
病院の開設・経営主体はどうあるべきか
小山 秀夫
1
1静岡県立大学経営情報学部
pp.22-26
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100462
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制度改革と病院開設主体
「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」「国から地方に,官から民に」「改革は痛みを伴う」というキャッチフレーズに代表される小泉改革は,わが国の病院経営にも大きな爪痕を残した.小泉政権の医療政策は,2001平成13)年6月26日公表の経済財政諮問会議の「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(以下「基本方針 2001」とする)に述べられている.
まず,「医療制度はいわば『制度疲労』をきたしており,現状のままでは医療費増大と,その結果としての負担の増大に,国民の合意は得られない.医療制度を改革するうえで最も重要なことは,医療供給体制を効率化することなどにより,国民皆保険体制と医療機関へのフリーアクセスの下で,サービスの質を維持しつつコストを削減し,増加の著しい老人医療費を中心に医療費全体が経済と『両立可能』なものとなるよう再設計することである.持続可能性を持つ『価値』ある保険制度の確立を通して国民の信頼を取り戻す必要がある」とした.そのうえで,本稿で検討する「医療機関」については,「医療機関の経営に関する情報の開示・外部評価(外部の専門家による経営診断・監査の実施)等を行うことにより,医療機関経営の近代化・効率化を進める.また,設備投資原資の調達の多様化や医療資源の効率的利用(高額医療機器の共同利用・稼働率の向上等)を促進するとともに,株式会社方式による経営などを含めた経営に関する規制の見直しを検討する」と明確に宣言した.
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