Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.初めに
普段“老人”と言うとき,「年をとった人」「年寄り」といった漠然とした意味あいで使われていることが多い.「老年」といった場合もほぼ同じような意味あいをもっているようであるが「老年期」といった場合にみられるように“年をとって環境への適応能力が衰え,知能の低下などの変化が起こる時期”といったニュアンスが強い.老人とか老年といったときに何らかの仕事に就いて社会の一翼を担うといったイメージはそれ程強くないことも確かである.確かに政治家や経営者の人の中には,とても“老人”とは思えないような人も少なくない.また70歳を越えても若い人に負けない営業成績を挙げているタクシー運転手もいる.
“老人”に比較的近いことばとして,「高齢者」とか「高年齢者」といったもの,さらに「中高年」といったものもある.
いずれのことばであっても,特に“年をとる”という意味から考えると皆それなりに納得ができそうである.誰でも確実に毎年1歳ずつ“年をとる”わけであるが,よく言われるように年をとることによって起こるさまざまな変化は個人差が大きく,暦年齢によって一概に区分することはかなり困難である.
そうは言っても,多くの人々が概ね変化をし始める年齢を析出し,いちおうの目安にしている.例えば厚生行政においては,65歳以上を対象として施設福祉などの施策が講じられていることが多い.また,労働行政では,55歳以上を「高年齢者」,45歳以上を「中高年齢者」と規定している(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律).
特に「職業」を考える場合,45歳以上あるいは55歳以上を考えるほうが,より現実的であるように思われる.このことは例えば,有効求人倍率において全年齢の平均求人倍率を下回るのは「45~49歳層」であることや,失業率において同様に全年齢の平均を上回るのが「55~59歳層」であることなどからみてもいちおう意味がありそうである.
ここでは,45歳以上から64歳ぐらいを主な対象として,いちおうの目安にしておきたい.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.