紹介
脊髄損傷患者の痙性減少における補正単相位低インピーダンス電気刺激療法
新藤 信子
1,2
1英国チルタン病院脊髄リハビリテーション科
2英国チャーリングクロス病院神経学科リハビリテーション部
pp.785-788
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103678
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はじめに
脊髄損傷患者の痙性は,患者だけでなく我々医療チームのメンバーにとっても全く頭痛の種であることは,誰でも経験していることだと思う.筆者はこの痙性を有する患者と取り組んで以来,30年以上になるが,その間に筆者なりの治療法と技術を編み出した.しかし,それは非常に長い時間と忍耐を要し,その結果は必ずしも満足できるものとは言いきれなかった.
近年になってこの筆者の手技を電気刺激に切り替え,低周波をはじめ数種の電気治療を試みたが,いずれも皮膚への悪影響および痙性の亢進が優先し,期待した効果は見られなかった.ところが,この電気刺激を補正単相性低インピーダンス電流(図1)で治療することにより,顕著な効果を得ることができたので,ここに報告する.
この研究は,過去2年にわたり非常に痙性の強い脊髄損傷患者を対象とし,19カ国の32名に治療を行った.患者の年齢は21歳から73歳,発症経過は6カ月より45年を経過したもの,障害の分類は表1に示す通りである.
これらの患者達は,いずれも過去に於いてストークマンデビル病院をはじめ,英国内の脊髄損傷専門病院で6カ月から1年以上にわたりあらゆる治療を受けたにも拘らず,痙性が強くてADLの障害を来していた患者達である.これに用いた器械は,英国MBI社の電子筋肉運動器のニュータイプとそれに付随のポータブルである`図2).
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