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特集 スポーツ医学
スポーツ医学の国際的動向
Sports Medicine-Current Tendency in the World
黒田 善雄
1
Yoshio KURODA
1
1順天堂大学体育学部スポーツ医学研究室
1Depart. of Sports Medicine, School of Physical Education, University of Juntendo.
pp.580-582
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103626
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はじめに
近代におけるスポーツは,ヨーロッパを中心に19世紀に発展・普及をし,それを背景にクーベルタン伯によってなされたオリンピックの復活(1896年)は,さらにスポーツの発達に拍車をかけた.
19世紀の後半には,スポーツの世界に,すでにコマーシャリズムの介入もみられ,それとともにドーピングも始まっている.
スポーツ人口の増加(当時はまだ比較的限られた階層の人々と,選手が主体であった)とともに,スポーツによる外傷や健康障害の発生も増え,スポーツ外傷・障害に対する治療・救急処置といった医学的対応の必要性が高まって来た.
1920年代にスイス・ドイツなどにスポーツ医学に関する組織が作られ,1928年国際スポーツ医学連盟が結成された.
第2次世界大戦のスポーツは,社会主義諸国における国策としてのスポーツの推進と,スポーツの国際交流の振興が,競技スポーツのレベルを急速に高め,それに伴ってトレーニング方法の向上,苛酷化が起こり,さらには,ドーピングの広がりをも招来した.
一方,先進国においては,一般国民の健康維持のために,スポーツに対する関心が高まり,老若男女をとわないスポーツ参加によるスポーツ人口の爆発的増加が起こった.
そのために起こるスポーツ外傷や障害は,かつては比較的青年層に限られた選ばれた人々のスポーツ活動に伴う医学的問題とは異なる新しい諸問題を起こし,新たなるスポーツ医学的対応を迫って来たのである.
以下,近年におけるスポーツ医学の世界的動向について,いくつかの観点から述べる.
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