Japanese
English
特集 デイ・ケア
精神科デイ・ケアの実態と課題
Present Status and Problems of Psychiatric Day Care in Japan
伊藤 祐臺
1
,
桜田 光夫
1
,
村中 知恵
1
,
藤明 朱美
1
Suketaka ITO
1
1国立武蔵療養所
1Musashi National Sanatorium.
pp.697-702
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102454
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.はじめに
昭和52年7月に,当時国立武蔵療養所デイ・ケアに勤務していたスタッフが全国の精神科デイ・ケアの実態調査を行った.その結果1)はすでに報告されているが,要約すると,第1に全国で133ある施設のうちデイ・ケアとは名ばかりで,実態は患者クラブないし教室的なものが大多数であったことである.第2に設備と予算の面で施設間に大きな開きがあること.第3に転帰について,「継続」が多く「入院」,「中断」の割合が高いこと.第4に同じデイ・ケア施設でありながら,デイ・ケアのあり方,さらには治療方針に至るまで,さまざまな考えのもとで行われていることがわかった.
これらのことから結論されたことは,全国にある既存のデイ・ケア施設は,設備とスタッフを充実させ,クラブ的ではなくて,真に社会復帰に役立つデイ治療を行える施設になるべきこと,そして,そのような充実した施設が諸外国なみにもっともっと新設されるべきこと,さらにこれらの施設がお互いに成果を発表し合い,いかにすれば再入院や中断が防げるかを話し合えるような,デイ・ケアに関しての共通の基盤が一日も早く持たれるようにと要望されている.
以来,今日に至るまでわが国の精神科デイ・ケアがどのような歩みをつづけているかを昭和55年8月の再調査の結果を参考にして述べ,現状の実態を明らかにして問題点を指摘し,さらに著者らが行ってきた国立武蔵療養所デイ・ケアでの経験を述べて,今後の課題に対して考察したいと思う.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.