Japanese
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研究と報告
晴眼者による盲人誘導法の実際―基本要素別訓練法について
Practice of human guide techniques for the blind
田中 一郎
1
,
村上 琢磨
2
Ichiro TANAKA
1
,
Takuma MURAKAMI
2
1国立東京視力障害センター
2東京都心身障害者福祉センター
pp.339-342
発行日 1974年5月15日
Published Date 1974/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100835
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Ⅰ.はじめに
「晴眼者による盲人誘導法」はリハビリテーション施設職員や盲人の家族にとって日常遭遇する技術であるが,中途失明者を一番切めに取り扱う医療関係者の方々にとってもきわめて大切なものである.これは失明者が特に初期においていかに取り扱われるべきかという問題1)のうちの重要な技術的要素であり,失明者の側から見ると将来単独行動法2,3)を修得し社会に適応1)していくための重要な基礎でもある.しかしわが国ではこれについて著されたものがないので,著者らは主に米国において分析された盲人行動の基本要素4)を参考とし,反復実習を重ねてここに項目別に最低限必要な手順を記載した.
本文は関係職員が確実に技術を修得するための指針であり,研修にあたる人は2人1組で交代に1人が目かくしをして被誘導者となり十分な実習を行なう必要がある.その後初めて盲人にこれらを適用しなければならない.ただし本文中では失明者に対して訓練を行なう場合を想定して,便宜上誘導者をガイド,被誘導者を訓練生と記した.
中途失明者は出来るだけ早い機会にこれらの技術を修得することにより残存感覚への信頼度を深め自分で行動することへの自信を得て行くものである.ここにリハビリテーションの第一歩が始まるともいえるのである.さらにこれが標準化され各医療機関において実施されていくならば,中途失明者全てが共通な誘導法を学ぶことになり,失明者福祉にとって大きな前進がもたらされるであろう.この小文がそのために何らかの寄与をすることが出来れば幸である.
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