特集 めまい—問診から治療まで
I.現状と展望
めまいの臨床—その現状と展望
小松崎 篤
1
1東邦大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.703-706
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210187
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I."眩暈症"についての印象
"めまい"は一般に「面倒な症状」と考えられている。その理由はいくつか挙げられるが,まず第一に,症状として発症してくるめまいの基礎疾患は多くの科にまたがっていることであろう。したがって「めまい」という症状であっても,その病変部位は内耳・前庭神経,さらに中枢神経系や血圧の異常など,広くその原因についての考察が必要である。
第二の理由は,耳鼻咽喉科外来診療の流れを変えるということである。すなわち多くの耳鼻咽喉科外来の診療では,診察椅子の上で問診,視診,あるいは診断が可能なことが多い。しかしめまいの検査法は,足踏み検査や頭位眼振検査,温度眼振検査など,医師みずからが行わなければならない検査でしかも診察椅子より離れて行う検査が多い。これらはいずれも耳鼻咽喉科外来診療の流れを変えるという点で「面倒な症状」と思われがちである。
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