目でみる耳鼻咽喉科
成人の急性喉頭蓋炎
山本 英一
1
,
折田 洋造
1
,
八木 信一
2
1川崎医科大学耳鼻咽喉科
2川崎医科大学小児科
pp.390-391
発行日 1984年6月20日
Published Date 1984/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209784
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急性喉頭蓋炎は欧米では小児によく認める疾患で,咽頭痛に始まり,短期間のうちに嚥下困難,呼吸困難へと進行し,適切な治療がなされないと死に至ることがある急性炎症である。血液培養でHemophilus influenzaeが証明されることが多く,頸部側面X線撮影にて腫大した喉頭蓋が確認される。治療は気道確保と抗生剤投与が中心で,気管内挿管や気管切開を必要とすることが多い。抗生剤はAB-PC等が中心となるが,耐性菌も出現しているのでCPを投与する場合もある。また,Steroid投与に関しては賛否両論がある。
臨床経過は小児も成人もほとんど変わらず,治療もほぼ同様であるが,起炎菌が異なるようで,成書によれば,小児ではHemophilus influenzae type B,成人ではStaphylococci,Streptocvcci,Neisseria catarrhalis,Pneumococci,Micrococci等も関与すると言われ,またウイルスによる場合も考えられている。症例1,2とも血液培養では菌は証明されなかったが,咽頭培養ではα-StreptococcusとNeisseria sp. が主であった。
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