創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
救急時の治療—重症患者を含む
静脈切開
鳥山 稔
1
1国立病院医療センター耳鼻咽喉科
pp.953
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208817
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静脈留置針
近年は,静脈留置針が著しく発達してきたために,余程なことがない限り静脈切開は行なわれなくなつてきた。
静脈留置針は,その成分によつて大きく2つにわけることができる。1つはテフロン・ポリエチレンカテーテル針で,この材質は比較的軟らかいので,附属の三角の刃のついた皮膚切開針でまず皮膚に切開を加える(一般にベニコーラ針,エラスターといわれている)。ついで静脈留置針を皮下より静脈に入れ,静脈内に入れば,中に入つている金属針を抜いて,ビニール,テフロン管を静脈内に5〜10cm位挿入し,これを絆創膏で固定し,点滴セットに接続する。2つ目は比較的硬い材質でできているシリコンチューブのついた留置針であつて,これは皮膚に切開を加えずに,静脈内に直接刺針し,シリコンチューブを残して,金属針を抜去して点滴セットに接続する。実際に使用してみると,前者は皮膚切開がしてあるために,刺針は簡単であるが,時には皮膚切開時の痛みにより,苦労して出した静脈壁が収縮して,入りにくくなることがある。しかし入つてしまえば,材質が軟らかいので,よく彎曲し静脈にそつて中に入つていく。後者は皮膚切開といつた操作を行なわないので障害が少なく,一度浮きでた静脈は途中でみえなくなることはない。しかし材質が硬いので,静脈内に入つてから血管壁を損傷することもある。
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