特集1 絶対苦手分野にしない 鼻副鼻腔病変の画像診断
[鼻副鼻腔CT・MRIレポート−私はこう書いている−]
良性腫瘍
-若年性鼻咽腔血管線維腫
髙井 由希子
1
,
加藤 博基
1
,
松尾 政之
1
1岐阜大学医学部 放射線科
キーワード:
若年性鼻咽腔血管線維腫(juvenile nasopharyngeal angiofibroma)
Keyword:
若年性鼻咽腔血管線維腫(juvenile nasopharyngeal angiofibroma)
pp.284-287
発行日 2023年3月26日
Published Date 2023/3/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000001198
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・頭頸部腫瘍の0.05~0.5%を占めるまれな良性腫瘍である。
・主訴は鼻閉・鼻出血が多く,進展範囲に応じて頭痛・嗅覚障害・眼球突出などのさまざまな症状を生じる。
・アンドロゲン/エストロゲン受容体が高頻度で発現するホルモン依存性腫瘍であり,思春期の男性に好発する。まれに女性や高齢者にも発生する。
・血管内皮細胞増殖因子が高頻度で発現する,血流がきわめて豊富な腫瘍であり,肉眼的には赤色調の表面平滑な腫瘤である。
・鼻腔後方外側に位置して,鼻腔と翼口蓋窩を連絡する蝶口蓋孔に発生する。
・組織学的には血管成分と線維性の間質成分で構成され,真の被膜は有さない。
・治療は完全切除が基本であり,病期分類はRadkowski分類(Table 2)に基づく進展範囲に応じて適切な術式が選択される。
・術中の出血コントロール目的で術前に血管塞栓術が施行されるが,側副血行路が急速に発達するため,塞栓後24時間以内の手術が望ましい。
・不完全切除は局所再発の原因となる。思春期以降の再発では腫瘍が自然退縮することがあるため,再手術の判断は慎重を要する。
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