鏡下耳語
小児耳鼻咽喉科について—小児科医は耳鼻科医に何を望むか
鈴木 篤郎
1
1信州大学
pp.662-663
発行日 1973年9月20日
Published Date 1973/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207963
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最近わが国においても小児外科,小児眼科というような,小児を対象とする臨床各科の動きが活発化し,それぞれ学会や研究会が設立されつつある。また小児病院もいくつか誕生し,小児のみを対象とする臨床各科の診療が行なわれている。このような傾向はもちろん耳鼻咽喉科でも例外でなく,海外ではpediatric otolaryngologyへの関心が急激にたかまりつつあるように見受けられ,従来から小児耳鼻咽喉科学に興味を持つてきた筆者にとつては大変よろこばしく感ぜられる。最近日本の代表的な小児科医の方々から,耳鼻咽喉科学の研究と診療に対する小児科の立場からの要望をうかがう機会をえたので,その内容をまとめて紹介したいと思う。
その前に小児耳鼻咽喉科学の成書について簡単にふれておきたい。わが国のものとしては立木豊教授の「小児耳鼻咽喉科疾患」日本小児科学全書第16編,1953,1956,金原出版と猪初男教授の「小児耳鼻咽喉科トピックス」,1967,金原出版とがあり,雑誌「耳鼻咽喉科」も小児耳鼻咽喉科疾患の特集(44巻10号,1972)を出している。後者は読まれた方が多いと思うが,前者は小児科学全書中に包含されている関係上耳鼻科医の方には案外知られていないのが残念である。495頁の大冊に,小児耳鼻咽喉科疾患についての詳細な記述がなされている。また本書の序文で先生はすでに「小児耳鼻咽喉科学ともいうべき,成人の場合とはやや異なつた内容を有する耳鼻咽喉科学の一方面」の必要性を述べておられる。
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