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Ⅰ.まえがき
facial hyperkinesia(顔面筋の異常機能充進)と言えば,多くは顔面痙攣(facial spasm)のみであると考えられているが,ほかにも類似疾患ないし症候群が存在する。これについては,既に本邦では小林15)が詳述しているので,ここでは述べない。実際には,耳鼻咽喉科外来で見られるものは,大多数が,顔面痙攣facial spasm,または眼瞼痙攣blephalospasmといつたものであり,多くは各科を転々として受診し,多くの対症的療法を受けて無効であつたものである。
最近まで,わが国で行なわれてきた外科的治療法としては,茎乳孔より末梢顔面へと分布する顔面神経の主幹に直接注射針を刺入して,人工的に顔面神経麻痺を誘発させ,それとともに痙攣を止める,いわゆる神経ブロック法や,誘発筋電図を用いて神経主幹よりさらに末梢の目的とする神経分枝を見出し,これにフェノールグリセリンなどの神経ブロック剤を注入する法や,顔面神経主幹部の部分的切除術などがあげられる。しかしいずれも短時日で,痙攣の再発をみる例が多く,さらには,神経の主幹部での部分切除が非常に難しく,その切除範囲のコントロールに難点がある。また,主幹への注射針刺入直接ブロックも,その解剖学的位置関係から難しく,また,副作用,合併症も多く,この様にブロックを行なつて麻痺を起こさせ痙攣を一時的に止めてもせいぜい1年位で再発し,さらに痙攣症状の拡大増悪を見るものも多い。
The author treated, by means of selective facial neurotomy, 14 cases of facial hyperkinesis in the past two years. Except for the initial 2 cases the results quite successful.
The present method may have some drawback in that it might be dependent somewhat on the skill on the operating surgeon. Yet, the rate of recurrence is very small so also of the degree of those attacks.
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