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I.はじめに
帯状庖疹は,個々の脊髄神経節または脳神経節,脊髄後角および隣接せる脳脊髄軟膜に,急性炎症反応を来たす水痘ウイルス感染症であり,臨床的には皮膚の水庖性発疹,根神経痛および稀に当該神経領域の運動麻痺,知覚脱失を伴う。通常片側性であるが,稀には両側に生ずる。多くは軽度の髄液中リンパ球増多を認めるが,髄膜炎または脳炎を合併すると著明な増多を示す。頭部の帯状庖疹,就中外耳の帯状庖疹は,しばしば顔面神経麻痺および内耳神経症状を伴う。1904年Körnerは,耳性帯状庖疹という名称でこれを記載したが,その後1907年にHuntによつて詳細な検討が加えられ,耳性帯状庖疹の病像は,Hunt症候群として知られている。
当科では昭和43年1月から,昭和45年3月までの間にHunt症候群を9例経験したが,顔面神経麻痺を来たしたものは8例に見られ,内耳神経症状は7例に見られた。この他に,顔面神経麻痺は見られなかつたが,第Ⅷ,Ⅸ,Ⅹ,ⅩⅠ脳神経症状を来たした症例を経験した。この様な例は比較的少なく,本症病変の進行機序を推察する上にも興味あるものと思われるので,ここに報告する。
A case of Hunt's syndrome that showed an outbreake of herpetic lesion from the ear lobe evidently from the disturbances of the Ⅷ, Ⅸ, Ⅹ, and ⅩⅠth cranial nerves, is reported. A woman, aged 63, complained of pain and herpes of the ear lobe, dysphagia, dysphonia, impaired hearing, tinnitus and severe shoulder pain.
The presence of herpetic lesions were especially noticeable along the supply area of the glossopharyngeal and vagus nerves.
The seat of pathological lesions in the cranial nerves is discussed.
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