幼児のことばの発達（3）—語彙について

THE DEVELOPMENT OF SPEECH IN YOUNG CHILDREN Ⅲ: ON VOCABULARY

　Ⅰ．緒言

　われわれは満1歳から満3歳までの言語発達を継続的に追跡している。その一部はすでに報告した^1）-5）。本誌6号に満3歳に達した16名の被検児の2歳時と3歳時について2名以上に共通して用いられた語彙を報告した^4）。今回は前回と同じ16名の被検児について2歳と3歳時のcore vocabularyの表を作り，その意義を検討した。また16名の語彙の中で，1名のみに使用されたものを，2歳時と3歳時についてとり出し，これまでに報告された語彙の資料と比較した。幼児の語彙についての資料は，大正13年の久保による1児の1歳から6歳までの語彙表^6），1943年の牛島らによる1〜6歳児の横断的な調査による語彙頻数表^7），最近では大久保による1児の1歳から6歳までの使用語一覧^3）がある。われわれの調査結果と，牛島ら，大久保によるものとを比較し，語彙検査，構音検査などの参考に供したい。

　Core vocabulary of 16 children, aged 2 and 3, was obtained by listing the words which were commonly used by 7 of these children. It appeared that the increase in the core vocabulary occurred along with the increment of individual's age but the core percentage remained with no change.

　A list of words used only by one child at the age of 2 and 3 was added.