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初心者でも安全,容易に行なえる食道鏡検査法
牛嶋 申太郎
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1日本医科大学第一病院耳鼻咽喉科
pp.527
発行日 1966年5月20日
Published Date 1966/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203597
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- 文献概要
食道鏡検査は耳鼻咽喉科医にとつて,必修のお術であるが,なかなか簡単に習得出来ないものである。麻酔法,被検者の体位などにも色々,「コツ」というものがあるが,とくに初心者にとつて一番困難なことは,第一狭窄部,すなわち食道入口部のロールの通過である。これは被検者の絞扼反射と検者の輪状咽頭部損傷に対する恐怖から登ずる。事実無理な操作によつて,ロールによる食道損傷の症例もあるが,正しい部位で正しい方向へロールを挿入しさえすればこのような事態は道らないのであるから,この操作の助けとなるように,われわれの教室では食道鏡挿入直前に,すなわち局所麻酔完了後,十二指腸ゾンデ(先端オリーブを取り除いたもの)を鼻腔より食道へ患者の自己の力でのませて置く,このようにして食道鏡検査を行なえば食道入口部のロールの挿入にあたつて,部位,方向をあやまることなく,通過させることが容易である。さらに利点を述べればゾンデをのませていることにより,食道入口部があらかじめ開いているので,ロールの通過を容易にする。また入口部において不必要な操作によつて患者に必要以上の苦痛を与えることがない。
本教室ではここ数年来この方法を行なつて入局間もない教室員に食道鏡検査を行なわせているが,ロールの挿入が不能だつた例はないし,また食道入口部における損傷も一例もない。
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