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聴力検査には2つの面がある。第1は被検者自らは希望しない検査であり,第2は被検者自らが希望する場合である。前者は例えば入学試験とか資格診査,又は職場に於ける難聴者の摘発というような場合がこれに属し,後者は主として被検者自身が何らかの聴覚障害の訴えを持ち,または訴えが無くともその危惧を持つて自発的に検査を希望して我々の所を訪れる場合である。したがつて前者の場合には検者はdissimulationや検査時のとりこぼしに対して常に厳重な注意と看視を怠ることは出来ないが,後者の場合は原則としてdissimulationの注意は必要ではない。
さて,その性質上,前者に対しては多数の被検者を対象とした選別検査が,後者に対しては個別的に精密検査が行なわれるのが従来の一般的な考え方であるが,しかしながら本質的にはその2つの面に対していづれも選別検査と個別検査とが有り得ていいはずである。そこで今選別検査に限つてこれを考えて見ると,前者の場合も後者の場合も,その対象が集団であつて,しかも正常の聴力を有するものがその集団の中の過半数を占めていると思われる場合には,いづれも全く同じ方法で選別検査が行なわれつ来た。このことはしかしながら上述の考え方に立脚すればはなはだ不合理な,不合理といわないまでも不適当なことである。
The authors devised a new form of audio-meter as well as correspondingly a new me-thod of examination whereby all demands for a hearing test are made with ease and accu-racy; multiple tests may be conducted simul-taneously.
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