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混合性喉頭麻痺像を呈したGlomus Jugulare Tumorの1例
中村 四郎
1
,
飯田 信長
1
,
山藤 勇
1
1日本大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.473-478
発行日 1960年6月20日
Published Date 1960/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202465
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I.はじめに
Glomus jugulare tumorの臨床例については,1945年H.Rosenwasserの報告以来,今日までに外国ではすでに100例以上の報告があるが,本邦では切替らによるわずか2例の報告をみるにすぎない。この事実は,はたして本腫瘍が日本人には発生し難いという人種的相違に基づくものかどうか,あるいはまた,本腫瘍が診断上我々の見のがしやすいものではないかという興味ある疑問を与えてくれているように思われる。いずれにしても本腫瘍の発生部位が特有であつて診断が比較的困難であり,予後も余りよくないことからみて,特に耳鼻咽喉科領域ではふだん留意すべき腫瘍の一つであると思われる。
私共の教室でも,混合性喉頭麻痺像を呈した患者について,その原因を追求したところ,glomus jugulare tumorと判明した興味ある症例を経験したのでここに報告する。
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