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I.緒言
放線状菌症は放線状菌によつて起る特殊炎症である。放線状菌は1875年Langenbeckにより腰椎カリエス患者の膿中に発見され,1878年Israelが細菌学的に研究して本菌が病原性を有することを確定して以来,放線状菌症は独立した疾患として取り扱われる様になつた。口腔及び頸部の本疾患は20歳〜30歳の青年期に第1大臼歯,智歯の齲蝕によつて起ることが多いため,主として歯科領域で発表されている。従来,慢性型が特徴とされていたが,化膿菌との混合感染が多い為に,急性型,悪急性型か多い様であつて,又本疾患の治療法には確実なものが少く,各種の療法を綜合的に実施しても,慢性に経過する事が多かつた。最近私達は3歳の女子の右頸部に発生した放線状菌症と思われる疾患に遭遇し,耳の真菌に卓効のある0.04%フエニール酢酸水銀製剤のサンシーゼリーを切開創へ注入することによつて短則間に治癒せしめ得たので報告する。
The author employed 'sansee-jelly' an ag-ent consisting essentially of mercurial phenyl acetate, in the treatment of neck lesion, in a girl aged 4, that appeared to be actinomy-cotic infection. The lesion was incised for drainage and the drug introduced directly into the wound. Healing occured in a very short period of time.
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