特集 喉頭腫瘍
喉頭挿管性肉芽腫
窪 敦子
1
1東京女子医科大学
pp.445-448
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202018
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序言
気管内挿管麻酔後に続発する喉頭肉芽腫の問題が注目され始めたのはClausen(1923)の報告以来のことで35年の歴史がある。日本では気管内挿管麻酔法の普及が遅く10年位のものであるから,本肉芽腫の存在に気付いたのは近々5〜6年位のものである。
著者は肺結核患者で肺葉切除後に嗄声を来したものに,両側声帯突起上に蒼白,大豆大,広基性ポリープ様腫瘤を発見(1952),結核性肉芽を疑い切除したところ案に相違して組織学的には非特異性肉芽腫との診断を受けた。翌1953年に林1)氏が同様症例2例について報告し欧米文献の紹介あり,その類似性に興味を覚えた。著者は引続き同様症例3例を経験したので之を併せて4症例を麻酔学会並に気管食道学会に追加報告5)した。林氏によれば当時文献上に現れた報告は30例足らずとのことであり,日本に於ては林氏報告に僅に先立ち多田氏15)が気管内挿管麻酔後にみられた喉頭ポリープとして報告したのが最初で,大内氏の迫加1例あり,大体各地方で同じ頃に各報告者の第1例に気付いたことが解つた。
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