特集 喉頭腫瘍
レントゲン治療の成功せる喉頭円柱上皮癌の一例
水越 治
1
,
只木 信和
1
,
小田 雅義
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.374-378
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202005
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緒言
喉頭癌の治療は手術的療法が確実であるが喉頭の発声機能を失うと云う欠点がある。これに反して放射線療法は上手く治癒出来れば発声も会話も自然のままであると云う優れた点があり,患者には全く良い治療法である。又この部位に好発する癌腫は放射線感受性に富んでいるものが多いと云う理由もあり,放射線療法の好い対象であるが,喉頭に於てはレ線に最も鋭敏な軟骨があつて,軟骨膜炎や壊疽を起し易い為,余り実施されていない。
しかし,戦後X線のエネルギーが増大して皮膚線量と深部線量との差が減少し,以前より照射に依る喉頭軟骨膜炎で死亡せる症例が少くなり,治癒率も向上しており,現在でも手術療法とレ線照射療法との間の優劣は必ずしも決定し難い状態であるようである。
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