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アレルギー性鼻炎並びに小児急性中耳炎に対するピリベンザミンの臨床的効果
本郷 裕
1
,
鬼川 広子
1
1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.737-740
発行日 1957年9月20日
Published Date 1957/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201858
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緒言
仏人B. N. Xalpermは1924年,抗ヒスタミン剤合成に成功した。以来各国各人により多数の新合成剤が創られ,近年アメリカに於ても毒性の少い優秀な抗ヒスタミン剤(ピリベンザミン)が創製された。それと共に代表的なアレルギー性疾患のみならず治療範囲も新しく開拓されたが,殊に「かぜ」(Common cold)とアレルギーの問題がFox(1949)によつてとりあげられるや「かぜ」に於けるアレルギーの役割は最早うたがう余地がなくなつた。ところで我々は日常「かぜ」に敏感な小児が急性中耳炎に罹患した際,屡々上気道疾患を合併し,化学療法である程度まで治癒に向うが再三「かぜ」に罹患し,鼓膜の軽度発赤,カタル症状が去らず困惑する問題にぶつかる。この様な際,最近私共は,抗ヒスタミン剤の一種である「ピリベンザミン」を,アレルギー性鼻炎,及びサルフア剤のみでなかなか軽快しない小児の急性中耳炎にたいして,全身的に使用して見た結果,著効を得たのでここに報告する。
ピリベンザミンは図のような構造式を有する抗ヒスタミン剤である。
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