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アレルギーとは通常大部分の人々には無害なる物質に対して体組織の病的な過敏状態を引起すことを意味するもので,その原因として少くとも二つの因子が考えられている。即ち或る個体的感受性と特種なる刺戟性物質の存在である。然してこれ等の刺戟性物質が或感受性をもつた個体に吸入或は摂取されてアレルギーを起すのであるがその発生機転に就いては種々学説もあるけれど未だに完説はない。即ち未だよくわかつていないのである。鼻アレルギーに就いてもその特種なる刺戟性物質即ちアレルゲンをその病歴より或はSkin test等よりさがし出し,若し見つかればその物質より遠ざかるか,或はその物質をアレルゲンとしたアンチゲンの注射,或はその物質に対する耐性を得る樣な治療法が考えられるがアレルゲンが単一でしかもはつきりわかつている場合はきわめて少く,多くの場合2〜3数種か或は不明なる場合が大部分である。それ故に多価アレルギー製剤ウムスチン等を用いたり,又諸家の研究によりアレルギー反応を起した組織内にヒスタミンの存在することより,ヒスタミンとアレルギーとの関係を考えヒスタミン脱感作療法等も行われ,更にビタミンCの静注,ミノフアーゲンCの筋注,20%硫酸マグネシウムの静注等あり,又局所療法としては33%アルコホールの鼻中隔及び下甲介粘膜下注射や翼口蓋神経節にアルコホールやイソフエナールの注射,エフエドリンのスプレー,レ線間腦照射等々数々あげられるがいづれも満足すべき効果が得られていない。最近に至り抗ヒスタミン製剤が種々つくり出され以前の療法に比してはかなり良い結果を得たとの報告例がある。私共は最近興和化学が作製せる極く少量でしかも強力なる抗ヒスタミン作用を有すると紹介されているクロールプロフエンピリダミンマレアートと4mgと副作用殆んど無くエフエドリンに優る効果を有すると報告されているメチールエフエドリン40mgを含有するところのスメルモンをアレルギー性鼻炎の患者に使用してみたので報告する。
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