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緒言
Zaufal及びStackeが耳より頭蓋内に病巣の進入して生命の危険を来すのを除去せんとして考案した中耳根治手術は,之に加うるに聴力をより増進せしむる目的を以て所謂聴力保存寧ろ増進根治手術として,名大後藤教授を始め学会の諸先輩によつて種々研究されて居る。而して之等法式の一端として耳管には何等処置を施さず,寧ろ之がそのまま開放されて,鼻咽腔と中耳腔との間に空気の流通を図る様に考案されて居る現今,我々が却つて耳根治手術の際に,この耳管の掻爬閉鎖に関して考案実施し,且鼓室岬その他に移植皮膚瓣を直接密着せしめて居るのは,或は時代錯誤的の感がないでもないが,我々が実地医師として所謂"Tubenform"なる言葉を以て表現されて居るところの術後耳管よりの分泌物による耳管周囲を中心とした創面の乾燥の困難なる症例に遭遇し,聴力保存と耳管開口部の乾燥上皮化との二つの面の板挾みになる事が度々あるので,我々としては先ず耳管開口部の乾燥を諮るべく耳管掻爬に関して考案し,又移植皮膚瓣の新固定方法による手術の簡易化,又治癒に至る迄の期間の短縮,無醜形等の面も併せ研究した。而して我々の之等の方法が,現在のところこの目的に一応奏功したかの観があるので,現在迄の実施方法及びその成績を一括報告し,尚現在疑問を抱いて居る点にも触れて諸先輩の御批判と御教示を賜りたいと思惟するものである。
Matsuyama and associates find that, when no specific measure is adopted for the care of Eustachian tube at the time of radical mastoi-dectomy, 32.5 percent of cases may be troub-led by continuous discharge from the Eusta-chian tube after the operation. By use of curet which is specifically designed by the authors for curettage of the middle-ear end Eustachian tube no cases showed post-operative discharge from the particular area, a cure of 100 percent.
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