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慢性副鼻腔炎が,何時,如何なる形で發生してくるかと云う問題はこの典型的慢性化膿性疾患の全貌を明かにする爲に極めて重大であるにも拘らず,之に關する組織的な研究は現在まで殆どなされていない。同じ樣に度々の急性炎症に曝され乍ら,どうして或る者はその都度治癒して後に影響がなく,他の或る者は慢性副鼻腔炎に移行して行くのであろうか。この樣な問題に對しては,考えられるべき凡ゆる要因に就て1つ1つ検討を加えてゆく必要があるわけであるが,その中の見逃し得ないものの1つに體質と云うものがある。又慢性副鼻腔炎が從來考えられている樣な青年期に初發する疾患ではなく,小兒に於て既に極めて多く認められる疾患である以上,上述の如き問題の解明には,どうしても小兒を對象とした研究が必要となつてくる。以上の樣な理由で,私は小兒慢性副鼻腔炎と體質との關連性に就て検討を加えてみたのである。從來體質と云えば,例えば有名なKretschmer氏法,或はPignet-Vervaeck氏體質係數法等,主として形態の個人的差異に重點が置かれているが,併し我々が問題にせねばならぬのは形態よりも寧ろ機能の個性であり,刺戟に對する反應能の個人差でなければならない。この樣な見地に立ち,而も臨牀的に容易に出來る方法として,私は遠城寺教授による小兒體質傾向検査票が最も合理的のように思われたので,この方法を採用した。
In an attempt for finding a possible relation between the state of ideosyncracy and chronic sinusitis among children, Miyajima examines 114 children, whose ages ranged from 6-12, affected with chronic sinusitis under Enjoji' chart of ideosyncracy potential and compared them with similar examination of 118 other children who were considered as normal in health. According to this standard 77.2 per cent of the affected group showed signs of ideosyncracy while that of the group considered as normal showed only 11.9 per cent.
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