Japanese
English
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木様蜂窩織炎の1例
A CASE OF LIGNEOUS PHLEGMON
中川 昌次郎
1
Shojiro NAKAGAWA
1
1岡山大医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Okayama University School of Medicine
pp.1177-1181
発行日 1966年11月1日
Published Date 1966/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204503
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I.緒 言
1896年Reclus13)は頸部に発生して木質様の固有な硬度を示す慢性蜂窩織炎の5例を詳細に観察,検討して,Phlegmon ligneux du couと命名して発表し,その独立性を主張した。当時外科学会の注目を集め,その独立性をめぐつて議論される一方,相次いで多数の報告がなされた。Lang6)は臨床的に本症に酷似した症例の剖検で上皮癌を発見し,又Poncet12)は顔面又び頸部に於ける病巣の膿中に放線状菌を証明して本症の存在を否定したが,Merkel8),滝本16)らはこれに強く反論し,その後多数の本症の報告が為されるに及んで,独立疾患として認められるに至つた。我国でも近藤6)の報告を初めとして多くの報告がなされ,中でも12例を経験した朴1,2)による極めて詳細な原著がある。著者の検索した範囲では100数例の報告を見るが,その大半は1930年代迄のもので近年は極めて少ない。最近我々は本症と思われる1例を経験したので報告し,併せて若干の文献的考察を試みた。
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