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I.緒 言
皮膚の老人性変化として,まず眼につくのは皺襞の発生である。これは露出部皮膚において特に著明で,項部にみられる溝のある皮革様の皮膚に対して菱形皮斑の名称がつけられている。皮膚は総じて菲薄となり,小血管が透見される。また持続的な毛細血管拡張がみられ,皮下脂肪の萎縮もかなり著明となる1)2)。その他,老人性変化の皮膚における目安としては,老人性色素斑,老人性疣贅,老人性白斑,老人性血管腫,禿髪,白髪等が挙げられており3)4),これらは肉眼的にも容易に識別し得る。しかしいずれも年齢と共にその変化は顕著となるものの,個人差が著しく,またその発生年齢も区々で,これら変化と他臓器および組織の老人性変化とは必ずしも平行していない。これらの各々の変化については,これ迄かなり検討されているものの,老人性色素斑,老人性白斑等の色素変化については未だ十分な検索はなされておらず,殊に老人性白斑については,小玉3),伊崎4)等の各種の老人性皮膚変化の統計的観察中の1項目としての報告以外には,未だ文献はみられない状態である。
老人性白斑はおよそ30歳代以降に,主として非露出部位にみられる碗豆大位までのやや不完全な脱色斑であるが,欧米においてはこれに関する報告はみられず,ただMiescherら5)のfleckför—mige Alterspigmentierung中の白斑黒皮症における脱色斑がやや類似しているようである。
Incidence of senile leukoderma was found to be about 6% of the examined subjects in age twenties and about 70% in age fifties. The older, the more in the number of lesions. Pre-dilection of senile leukoderma was the cov-ered areas, such as the torso and lower ext-remities.
Histologically, the epidermis in depigmented areas is somewhat flat and atrophic, while in the cutis of surrounding, normally pigmented areas, moderate papillomatosis and increase of both collagenous and elastic fibers were fre-quently seen. Karyolysis of the nuclei of epi-dermal cells was partly observed, but it was not so evident as vitiligo.
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