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Blepharitis granulomatosa
西山 茂夫
1,2
,
富沢 尊儀
1,2
Shigeo NISHIYAMA
1,2
,
Takayoshi TOMIZAWA
1,2
1東京大学皮膚科
2関東逓信病院皮膚科
1Department of Dermatology, School of Medicine, Tokyo University
2Department of Dermatology, Kanto Teishin Hospital
pp.551-554
発行日 1966年6月1日
Published Date 1966/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204379
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I.はじめに
Cheilitis granulomatosaを中心とした顔面の限局性,無痛性,慢性の腫脹を主徴とする病像は,最近10年間において,Schuermann及びHornsteinの広汎,詳細な臨牀的研究により,ほぼ正確に把握されるようになつた。すなわちHornstein (1960)により,rezidivierende ödemgebundene Granulomatosis(再発性浮腫性肉芽腫症)として総括された一群の疾患像は,局所解剖学的に特別なものではなく,身体の如何なる場所にも生じ得る,血管,リンパ管の末梢循環障害による,始め再発性,後に持久性の浮腫を基盤とした,リンパ結節性,プラスマ細胞性及び類L皮細胞性の肉芽腫様反応と考えられている。
その発生部位は,顔面の皮膚及び粘膜を主とし,時に胸部及び手背皮膚,咽頭,喉頭,リンパ節,大腸,前立腺等であるが,さらに稀な発生部位として,われわれは先に,女子外陰部に生じた本症に相似の浮腫性肉芽腫性病変を,"Vulvitis granulomatosa"として報告した12)。顔面においては,最も屡々上下口唇(Cheilitis granulomatosa)に生ずるが,ほかに頗粘膜(Pareitis gr.),舌背(Glossitis gr.)硬口蓋(Uranitis gr.)等の口腔粘膜,さらには眼瞼(Blepharitis gr.),額(Metopitis gr.),顎(Geneitis gr.)の皮膚に発生し,顔面のうちで記載されない部位は存在しない程である。
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