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I.緒 言
Crocker & Williams(1894)1)はHutchinsonにより報告されていた高年男子の慢性紅斑性皮膚病変とBuryによつて報告されていた少女に見られた結節性皮膚変化を統合して,これにはじめてErythema elevatum diutinum(E.e.d.と略す)という臨床的な病名を与えた。本疾患のその後の沿革についてはHaber(1955)2)の詳細な報告に譲る。とにかく成立以来E.e.d.はHutchinson型とBury型の2つの病型からなり,今日まで本症と環状肉芽腫との異同およびextracellular cholesterosisとの関係などについて論議が交されて来ている。E.e.d.は比較的早期から組織学的にも環状肉芽腫とは明かに別個の疾患であると解釈されて来た2)〜6)。しかし一方,本症におけるBury型の存在を否定し,この型は環状肉芽腫そのものないしはその異型とする一部の学者7)8)があり,Heite & Scharwenka(1959)9)の研究も両者の近似性およびこれに対するHutchinson型の特異性を裏付けるものである。
Urbachら(1932)10)によつて最初に記載されたextracellular cholesterinosis(のちにextracellular cholesterosisと改名)という疾患とE.e.d.の関係については,これがE.e.d.の異型であるとするHerzberg(1958)11),Laymon(1962)6)らの見解が支配的となつて来た。更にE.e.d.という臨床名に対して病理組織学的観点から本症を広く血管アレルギーの範疇に12),またはVasculitis allergica cutisないしはnodular dermal allergidesの類症として13)理解しようとする傾向がある。
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