Japanese
English
--------------------
猫ひっかき病
CAT SCRATCH DISEASE
占部 治邦
1
,
安元 健児
1
Harukuni URABE
1
,
Kenji YASUMOTO
1
1久留米大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Kurume University School of Medicine
pp.487-491
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203779
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
本症は猫にひつかかれ,あるいは咬まれたあとに発熱と所属リンパ腺の無菌性腺腫を生ずる疾患である。1932年Foshay1)はこのような疾患をはじめて経験して,野兎病の軽症型に類似していると報告している。1945年にはHanger and Ro—se2)によつて腫脹したリンパ腺より抗原が作られこれによつて皮内反応を行なうと本症では陽性を呈することが明らかにされた。しかし猫ひつかき病として報告されたのはDebré3)(1950)によるものが最初とされている。その後欧米各国からはつぎつぎと多数の症例が報告されてきた。わが国においては第1表に掲げたように1953年に浜口・長野4)によつて本邦第1例が発表されて以来,われわれが調査したところでは,今日までに37症例を数える。しかしこれらの報告以前にも水由21),植村22),神藤・森岡23)らによつて,猫にひつかかれたり,咬まれたりしたあとに本症と類似した症状,経過,あるいは組織所見を呈した症例の記載があるが,果してそれがいわゆる猫ひつかき病であつたか否かの判断は下し難い。
今回われわれは本症と考えられる症例を経験し組織学的,血清学的検索を行なつたので文献的考察をも加えて報告する。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.