リフレッシュ講座 胃の検査手技の基本・2
術前検査としての精密X線検査
細井 董三
1
1多摩がん検診センター
pp.1015-1021
発行日 1997年6月25日
Published Date 1997/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105182
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はじめに
胃X線検査は,初回検査として病変の拾い上げに主眼を置くルーチン検査と,そのルーチンX線検査または内視鏡検査によって既に存在が確認されている病変の性状診断や質的診断を目的とした精密検査とに分けて行われてきたが,近年の内視鏡の目覚ましい発達,普及に伴ってX線検査の目的や役割も変わりつつある.最近では精密X線検査は良・悪性の鑑別診断に用いられることはほとんどなくなり,主に術前検査として,手術または内視鏡的治療が予定されている病変に対して,治療法の選択や手術術式の決定に必要な情報を得る目的で行われている.したがって,ここで要求される精密X線検査の役割は病変の全体像の把握,病型の決定,悪性病変における浸潤範囲および深達度診断など,内視鏡検査だけでは十分でない診断領域を補うことにある.その点を十分に認識しておく必要がある.以下に胃癌の術前検査として最も重要な浸潤範囲と深達度診断における要点を症例に沿って解説を試みる.
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